所在地: 北海道函館市 用途: 個人住宅 分類: リノベーション(納屋→ 住居)、戸建 規模: 約60平方メートル(約18坪)
函館市に建つ夫婦と子供1人のための住宅です。
もともと敷地内に建っていた納屋を住まいに再生しました。
クライアントである友人から「とにかくきれいにして住めるようにしたい」と言われ、“マルタン・マルジェラ”のショップのことを思い出し、そのショップでおこなわれた白く塗る要素だけを抽出してこの問題を解決する根源にしました。部屋全体を掃除した後、まず既存の小屋組から真っ白に塗りました。既存の無骨な小屋組と対比するように新しく設けたプレーンな壁を塗り終え、床も塗ろうとしたところ、部屋の明るさのバランスがとても良い状態に気付き、ただ洗ったままの素の状態にとどめました。床以外すべてがとにかく真っ白く塗られた部屋はとても明るく、とても広さを感じられ、とても居心地のいいきれいな美しい空間になりました。
白という色は「表現したくない」というような意味合いの場合に使うこともあります。別の視点からみるとより表現してしまっているというのは、不思議な現象だと思います。ただただ「白く塗る」ことを徹底された空間は、いっけんものが白く統一され調和のとれた空間になっています。ものから色を取りのぞいた結果、それらの「かたち」や「ものごとそのもの」がより浮き彫りになって、「それそのもの」に目を向けさせる力があることに気付きます。もともとの木の構造(有機性)が本来もっている「かたち」を見つめ直し、単に白の仕上げ(無機性)をほどこしただけで新しい価値観が生まれることをこの再生された住まいでこころみました。
© Photograph: アトリエフク
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